2014年1月17日金曜日

円グラフの話

円グラフってのは全体の割合を角度で表して表示するグラフです。テレビのニュースとかビジネスとかでよく使われてるのを見かけると思うのですが、あんまり使うのよくないらしいという話が書かれた記事を見つけたのでしらべてみました。

Wikipedia 円グラフ
統計学者は、円グラフを情報伝達能力が低いとする傾向がある。円グラフはビジネスや報道ではよく使われるが、科学分野ではあまり使われない。理由の1つは、棒グラフなどに比べて個々の領域の大きさを比較するのが難しいためである。スティーブンスの冪法則によると、面積は0.7乗で知覚され、長さは1.0乗で知覚される。これは、知覚される差異と実際の差異が同じである長さの方が、尺度としては優れていることを示唆している。

 スティーブンスのべき乗則というのは実際のものの大きさの比に対して人間が感じる大きさの比で、要は今回の例だと面積が2倍になっても人間が感じる大きさは2^0.7倍になってる風にしか見えないってことです。長さの二乗が面積になってることを考えると0.7は1/√2におおよそ等しいことからも人間は面積ではなくて長さでものごと判断してるってことが言えるかもしれません。

てなわけで、面積が比例するように作られた円グラフはこの時点で精度という面でかなり使えないことがわかります。しかも世の中には3D円グラフっていうのも存在して、まあ上のことを考えると今度は3乗で効いてくるわけですからもっともっと見た目と実際の量とのギャップは大きくなります。

3D円グラフを使うのはやめよう http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/blog/node/2266

統計用プログラムRのHelp:Pie
Pie charts are a very bad way of displaying information. The eye is good at judging linear measures and bad at judging relative areas. A bar chart or dot chart is a preferable way of displaying this type of data.

正しい情報を正しく表示するっていう意味合いでは完全に悪者扱いですね。意図なく惰性で円グラフを書くのは危険ってことがわかります。 特にねつ造したいとかそういう意図がなければ棒グラフで書くのが無難です。特に項目ごとの数値を表してるグラフ(さっきの教科書の例みたいなやつ)なら棒グラフで代用できます。というか棒グラフにしましょう。 こういうことって言われてみるとあたりまえなんですけど、実際見た瞬間に円グラフだからこのグラフ作成者はここを強調したいんだな、なんて考えられるかといわれると正直微妙なので、円グラフを見るときには気を付けてみる必要があります。
例として、wikipediaにあった酷い例を挙げておきます。

こういう不思議なグラフを作ることができてしまうので、区切りを恣意的に決められるので適切ではないという例としてよくとり挙げられるヒストグラムよりもさらに悪いといえるかもしれません。あとはこんな例とか
「錯覚立体円グラフに(さらに)データ配置マジック」が混ぜられた「Appleが見せたiPadシェア」 http://www.hirax.net/diaryweb/2012/09/16.html

なかなかにエクストリームですね。ここまで来るとAppleを褒めたくなります。
こうやって調べてみると、学者は円グラフを使わずにマスコミとかビジネスマンが円グラフをよく使う理由がわかりますね。悪い人にだまされないように気を付けないといけません。
NHKの棒グラフ描画システムが機械的に世論を狂わせている可能性 http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20070204.html

2014年1月16日木曜日

高校の物理の話

今やってるバイト先では高校の物理を教える機会もあって、今日は物理が嫌いではないけど苦手にしている高2の少年の担当でした。範囲は熱力学。
どうも熱力学第一法則の意味はわかるんだけどその使い方がよくわからないみたいで、もちろん僕も頑張って説明はするんだけどやっぱり教えるのとわかってるのとでは意味が全然違うし、どう考えても僕は教えるプロではないし言い訳をすればきりがないんですが、まあうまいこと伝えることができないわけです。
でもその生徒は数式がわからなくても頑張って食いついてくれるんです、そんでたとえば熱効率の問題で熱機関のエネルギー効率を求めなさい、っていう問題の答え合わせの時にちらっとエアコンの効率は100%を超える理由を言ったときとかにすごくいい顔をするんです。あとは跳ね返り係数を求める問題で、高さの比だけで係数が出せるとか、そういったちょっとした物理のtips?みたいなものが出てきたときですね。物事を俯瞰した視点から見れるっていう面白さはわかってくれてるんです。

日頃何気なく見てる現象とかが自分の知ってる知識で説明できる喜びっていうのはやっぱりみんな持ってて、それをもっと教えてあげる場面を学校でつくるってあげればもっと物理とか数学とか科学とかが好きになる子が増えるんじゃないかなと改めて思ったわけです。

確かにボールを投げ上げた時の高さと初速の関係とかは大事なんですけど、その式だけを闇雲に暗記させてこの問題はこう説くんだ!って教えてテストでぎりぎり合格点をとってきてあとは知らんっていうのもちょっと寂しいなと。

とはいっても毎回毎回わかりやすい身近な例を出してくるのも大変だし、勉強って最初はわからないものをうのみにする技術も(すくなくとも答えのある勉強に関しては)なかなか有効で、一概にそれをやめろとも言い難いのも事実で、どうやってその配分をとればいいのかなぁと考えてしまいます。もんもん。